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中小企業のカスハラ対策|従業員を守るために会社ができること

TN(技術担当)
8月23日
読了時間: 9分

「お客様だから、何を言われても我慢しなければならない」

「クレーム対応は接客担当者の仕事」

そんな考え方は、大きく変わりつつあります。


暴言、威圧的な言動、長時間の拘束、土下座の要求、過度な謝罪要求など、顧客や取引先からの著しい迷惑行為、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題になっています。


厚生労働省の調査では、過去3年間に労働者から「顧客等からの著しい迷惑行為」について相談があったと回答した企業・団体は27.9%に上っています。

そして、2026年10月1日からは、カスタマーハラスメント防止のために必要な措置を講じることが事業主の義務となります。


カスハラ対策は、大企業だけの問題ではありません。

むしろ、対応できる従業員や管理者が限られている中小企業だからこそ、「従業員個人に対応を任せない仕組み」を作ることが重要です。


今回は、中小企業で取り組みたいカスハラ対策と、防犯カメラ・録音設備の活用について解説します。


カスタマーハラスメントとは?

商品やサービスに問題があれば、お客様が改善や説明を求めること自体は当然です。

問題になるのは、要求内容やその手段・態様が社会通念上不相当で、従業員の就業環境を害するようなケースです。


例えば、

  • 大声で怒鳴り続ける

  • 従業員を侮辱する

  • 脅迫する

  • 長時間にわたって拘束する

  • 同じ要求を繰り返す

  • 土下座など過度な謝罪を要求する

  • SNSへの投稿を材料に威圧する

  • 従業員個人を攻撃する

などが考えられます。


厚生労働省の調査でも、相談された迷惑行為では「継続的・執拗な言動」が72.1%、「威圧的な言動」が52.2%、「精神的な攻撃」が44.7%となっています。


カスハラの代表的な事例、カスハラ対策に防犯カメラは効果的
代表的なカスハラ

2026年10月からカスハラ対策が事業主の義務に

2025年6月に法律が改正され、2026年10月1日からカスタマーハラスメント対策が事業主の義務となります。


重要なのは、

「問題が起きたら、その従業員が頑張って対応する」

という考え方では不十分になっていくことです。


会社としてカスハラに対応する仕組みを整える必要があります。

大企業だけではありません。

中小企業にとっても、従業員が安心して働ける環境をつくるために、カスハラ対策を考える必要があります。


中小企業ほどカスハラの影響が大きい

従業員数の少ない会社では、一人の従業員がカスハラ被害を受けたときの影響が大きくなります。


例えば10人の会社で、接客を担当している従業員がカスハラによって出勤できなくなれば、業務への影響は決して小さくありません。


さらに、

「会社は守ってくれなかった」

と従業員に感じさせてしまえば、離職につながる可能性もあります。


厚生労働省の調査では、顧客等からの迷惑行為による影響として、「通常業務の遂行への悪影響」や「労働者の意欲・エンゲージメントの低下」などが報告されています。

カスハラ対策は単なるトラブル対策ではなく、人材を守るための対策でもあります。


「お客様だから我慢する」をやめる

中小企業の現場では、

「常連のお客様だから」

「取引先だから」

「悪い口コミを書かれたら困るから」

と、無理な要求にも対応してしまうことがあります。


しかし、正当なクレームとカスハラは分けて考える必要があります。

例えば商品に不具合があれば、企業として誠実に対応する必要があります。


一方で、

「担当者を今すぐここへ呼べ」

「土下座して謝れ」

「お前をクビにさせる」

など、要求の手段や程度が著しく不相当な場合まで、従業員一人に対応させ続ける必要はありません。


会社として「どこまで対応し、どこから先は対応を打ち切るのか」という基準を決めておくことが重要です。


まず会社としてカスハラ対応方針を決める

カスハラ対策で最初に取り組みたいのが、会社としての方針づくりです。


例えば、

「当社は従業員への暴言、脅迫、過度な要求などの行為には毅然と対応します」

という基本方針を明確にします。


そして従業員にも、

「一人で対応し続けなくていい」

「この状況になったら上司を呼ぶ」

「危険を感じたら警察へ通報する」

などのルールを共有しておきます。


現場の従業員が最も困るのは、どこまで我慢すればいいのか分からないことです。


対応マニュアルを作成する

次に、実際にカスハラが発生した場合の対応を決めておきます。


例えば、

通常のクレーム

↓

担当者が対応


暴言・威圧的言動などが発生

↓

警告


行為が継続

↓

上司・管理者へ交代


脅迫・暴力・危険行為

↓

対応を中止し、必要に応じて警察へ通報

というように段階を決めます。


「担当者がその場で判断してください」ではなく、会社として対応フローを決めておくことがポイントです。

 

カスハラを防犯カメラで効果的に抑止
カスハラ対応のフロー

防犯カメラはカスハラ対策にも活用できる

防犯カメラというと、

「泥棒を撮影する設備」

というイメージが強いかもしれません。

しかし、防犯カメラはカスハラ対策にも活用できます。


例えば、

  • 店舗のレジ

  • 病院・クリニックの受付

  • 会社の受付

  • サービスカウンター

  • 商談スペース

  • 窓口

などです。


カスハラが発生した場合、

「お客様はこう言った」

「従業員はそんな対応をしていない」

というように双方の主張が食い違うことがあります。


映像が残っていれば、そのとき何が起きていたのかを客観的に確認する材料になります。


カスハラ対策では「音声」も重要

カスハラの場合、映像だけでは分からないことがあります。


例えば、

「殺すぞ」

「店を潰してやる」

「SNSに書いてやる」

などの発言があったとしても、映像だけでは内容を確認できません。


そのため、カスハラ対策では音声記録が重要になるケースがあります。

映像と音声が残っていれば、

誰が、どのような状況で、どのような発言をしたのか

を後から確認しやすくなります。

ただし、録音・録画を行う際には、利用目的、保存期間、閲覧権限、プライバシーなどを考慮した適切な運用が必要です。


AIカメラで管理者へ知らせる方法も

AIカメラを利用すると、単に映像を録画するだけではない使い方もできます。


例えば、特定の場所への立入りや状況を検知して、スマートフォンなどへ通知できるシステムがあります。


カスハラ対応では、設備だけで自動的に「これはカスハラだ」と正確に判断できるわけではありません。


しかし、

防犯カメラ+音声+スマホ通知+管理者による確認

という仕組みを組み合わせれば、現場担当者だけに対応を任せない体制づくりに役立ちます。


防犯カメラ・AI防犯カメラにより、カスハラに対する効果的対策
防犯カメラによるカスハラ対策

「録画しています」という表示も検討する

カスハラ対策では、証拠を残すことだけが目的ではありません。

トラブルそのものを発生しにくくすることも重要です。


例えば受付などに、

「従業員の安全確保およびトラブル防止のため、防犯カメラによる録画を行っています」

といった表示をする方法があります。


録画されていることを認識してもらうことで、暴言や過度な行為を思いとどまらせる効果も期待できます。


従業員が押せる「緊急ボタン」も有効

対面でのカスハラがエスカレートする可能性がある場所では、緊急ボタンを設置する方法もあります。


例えば受付カウンターの下にボタンを設置し、従業員が危険を感じたときに押します。

ボタンを押すことで、

  • 別室へ知らせる

  • 管理者へ知らせる

  • 回転灯や警報設備を作動させる

など、設備構成に応じた仕組みを作ることもできます。


重要なのは、従業員が危険を感じたときにその場から離れられる仕組みを用意することです。


防犯カメラ設置費用に補助・支援を受けられる場合も

カスハラ対策として防犯カメラや録音設備を導入したいものの、

「中小企業にとって設備投資の負担が大きい」

という問題もあります。


そこで確認しておきたいのが、国や地方自治体などの支援制度です。

自治体によっては、カスハラ対策として録音・録画設備や防犯カメラなどを導入する場合、補助金・奨励金などの対象になることがあります。


例えば東京都では、都内中小企業等を対象としたカスタマーハラスメント防止対策の支援を実施しており、対象となる取組として「録音・録画環境の整備」「AIを活用したシステム等の導入」などが挙げられています。2026年度も企業向け支援事業が実施されています。


また、名古屋市でも中小企業のカスハラ対策支援として、管理用カメラや通話録音装置などの導入費を補助対象とした制度が設けられた実績があります。


つまり、防犯カメラを導入する前に、

「所在地の自治体にカスハラ対策の補助制度がないか?」

を確認することをおすすめします。


ただし、制度は自治体によって異なり、対象設備、補助率、上限額、申請期間、事前申請の必要性なども異なります。

補助金を利用する場合は、防犯カメラを契約・設置してからではなく、必ず事前に最新の募集要項を確認してください。


防犯カメラだけでカスハラ対策は完成しない

ここは非常に重要です。

防犯カメラを設置したからといって、それだけでカスハラ対策が完了するわけではありません。


必要なのは、

会社としての基本方針+対応マニュアル+従業員教育+相談・報告体制+録画・録音などの設備

です。


設備は、従業員を守るための仕組みの一つです。

「録画しているから、あとは従業員に任せる」のではなく、問題が起きたときに会社が従業員を守る体制と組み合わせることが大切です。


カスハラ対策は「お客様を疑うため」ではない

防犯カメラや録音設備を導入すると、

「お客様を監視するのか?」

と思われることがあります。

しかし、カスハラ対策の目的は、通常のお客様を疑うことではありません。


大切なのは、

お客様と従業員の双方が安心してやり取りできる環境をつくること

です。


トラブルが発生した際に客観的な記録があれば、お客様側から不適切な対応を指摘された場合にも事実確認ができます。

つまり、録画・録音は従業員だけではなく、適正な顧客対応を確認するためにも利用できるものです。


まとめ|中小企業こそ「従業員を一人にしない」カスハラ対策を

カスタマーハラスメントは、担当者個人の接客能力だけで解決する問題ではありません。

特に中小企業では、一人の従業員がカスハラ被害を受けることで、本人だけでなく会社全体に大きな影響が及ぶ可能性があります。


そして2026年10月1日からは、事業主にカスタマーハラスメント防止のために必要な措置を講じることが求められます。


だからこそ、

「従業員が一人で我慢する」

のではなく、

「会社として従業員を守る」

という仕組みをつくることが重要です。



防犯カメラや録音設備は、そのための一つの手段です。

映像・音声を記録することで事実確認をしやすくし、必要に応じて管理者が対応できる体制を整えます。

また、自治体によってはカスハラ対策として防犯カメラや録音・録画設備などを導入する際に、補助金や奨励金等を利用できる場合があります。導入を検討する際には、所在地の自治体の最新制度も確認してみてください。


関東セキュリティでは、店舗、病院・クリニック、事務所、受付など、実際の現場に合わせた防犯カメラ・録音設備・AIカメラなどをご提案しています。


「受付でのカスハラ対策をしたい」

「映像だけでなく音声も記録したい」

「従業員が危険を感じたときに管理者へ知らせたい」

「補助制度を利用して防犯カメラを導入したい」

といった場合も、ご相談ください。



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