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ホームルーターで防犯カメラを遠隔監視できる?W社で実際に検証した事例

  • TN(技術担当)
  • 8月13日
  • 読了時間: 9分

防犯カメラをスマートフォンやパソコンから遠隔監視するためには、防犯カメラを設置する場所にインターネット環境が必要です。


一般的には光回線を利用しますが、

「賃貸物件なので光回線の工事ができない」

「大家さんから回線工事の許可が下りない」

「工事をせずに遠隔監視したい」

といったご相談もあります。


そこで選択肢の一つになるのが、ホームルーターを利用した防犯カメラの遠隔監視です。


工事不要でインターネット環境を構築できるため便利ですが、ここで注意しなければならないことがあります。

それが、通信速度、特に「上り速度」です。

今回は実際に、W社のホームルーターを使用してAHDカメラ16台を遠隔監視したところ、映像や音声に問題が発生した事例をご紹介します。


AHDカメラ16台をホームルーター経由で遠隔監視

今回のシステムは、AHDカメラ16台をDVRへ接続した構成です。


AHDカメラ16台

DVR

W社ホームルーター

インターネット

スマートフォン・パソコン


AHDカメラ自体を直接インターネットへ接続しているわけではありません。

DVRをネットワークへ接続することで、16台のカメラ映像を外部から遠隔監視しています。


遠隔監視時の解像度は720p(約92万画素)に設定しました。

ところが、実際に遠隔監視を行ってみると問題が発生しました。

映像がカクカクする。

さらに、

音声も途切れ途切れになる。

遠隔監視として快適に使用できる状態ではありませんでした。


上り回線速度を測定すると約5Mbps

そこで、現地のインターネット回線を調べました。

使用していたのは、W社のホームルーターです。

通信速度を測定したところ、この地域では上り速度が5Mbps程度しか出ていませんでした。


ここが大きなポイントです。

一般的にインターネット回線の速度というと、

「下り速度」

を気にする方が多いと思います。

YouTubeを見る、Webサイトを見る、ファイルをダウンロードするといった一般的なインターネット利用では、下り速度が重要だからです。


しかし、防犯カメラの遠隔監視では「上り速度」が非常に重要です。


なぜ防犯カメラの遠隔監視では「上り速度」が重要?

防犯カメラの遠隔監視では、カメラ設置場所から外部へ映像データを送信します。


今回のシステムなら、

DVR → ホームルーター → インターネット → 遠隔監視先

という方向に映像を送っています。


つまり、防犯カメラを設置している側から見ると、映像データをインターネットへアップロード(上り通信)していることになります。


そのため、防犯カメラの遠隔監視では、下り速度だけでなく上り速度を確認することが重要です。

特に複数台のカメラを同時表示すると、送信する映像データ量も増えます。


同じW社でも別の地域では上り約50Mbps

ここで興味深いのが、別の場所での結果です。


弊社では、ほかの地域でもW社を使用して防犯カメラの遠隔監視を行っています。

その地域で通信速度を測定すると、

上り速度:約50Mbps

でした。

今回問題になった現場は約5Mbpsですから、約10倍の差があります。

上り約50Mbpsが確保できている環境では、遠隔監視映像もスムーズに表示されています。


つまり、

「W社だから防犯カメラの遠隔監視には使えない」

というわけではありません。

反対に、

「W社なら問題なく遠隔監視できる」

とも言い切れません。


同じサービス・同じようなホームルーターを使用していても、設置地域や電波環境などによって実際の通信速度は大きく変わることがあります。


防犯カメラを、ホームルーターを用いて遠隔監視。ホームルーターの上り回線速度がポイント。
遠隔監視には、ホームルーターの上り回線速度が重要

ホームルーターは「契約前のスペック」だけでは判断しにくい

ホームルーターを利用する際に注意したいのが、通信サービスの最大通信速度だけを見て判断しないことです。


W社をはじめとする一般的なモバイル通信サービスは、基本的に「ベストエフォート型」です。

ベストエフォート型とは、表示されている最大通信速度が常に保証されているわけではなく、実際の通信速度は利用環境によって変化するサービスです。


例えば、

  • 設置する地域

  • 基地局との位置関係

  • 建物の構造

  • ホームルーターの設置位置

  • 電波状況

  • 利用する時間帯

  • 周辺の利用者数や回線の混雑状況

などによって、通信速度は大きく変わることがあります。


昼間は問題なく映像を確認できても、回線が混雑する時間帯になると映像がカクつくといった可能性もあります。

また、同じW社を使用していても、地域が違えば通信速度が大きく異なる場合があります。


実際に弊社が確認したケースでも、今回の現場では上り速度が約5Mbpsだったのに対し、別の地域では約50Mbps出ていました。


つまり、

「W社だから速い・遅い」ということではなく、実際に防犯カメラを設置する場所で、どの程度の上り速度が確保できるかが重要です。

さらに、ベストエフォート型である以上、1回の速度測定だけで判断するのではなく、可能であれば時間帯を変えて複数回測定すると、より実際の使用環境に近い判断ができます。


そのため関東セキュリティでは、ホームルーターを使用する場合、必要に応じて実際にW社のホームルーターを現地へ持ち込み、上り回線速度を測定したうえで遠隔監視に適しているかを判断しています。


今回は光回線を導入できなかった

本来、今回のように16台の防犯カメラを安定して遠隔監視するのであれば、光回線を利用したいところです。


しかし、この物件では事情がありました。

賃貸物件だったため、光回線を引くには建物への工事が必要になります。

大家さんとの関係で工事の許可が得られず、光回線を導入することができませんでした。

そこで、工事不要で利用できるWiMAXのホームルーターを採用しました。


ホームルーターは、

  • 光回線工事ができない

  • 賃貸物件

  • 空き家

  • 仮設事務所

  • 倉庫

  • 短期間使用する施設

などでは非常に便利な選択肢です。

ただし、今回のように通信環境によっては十分な遠隔監視性能を確保できない場合があります。


16台すべてを見る場合と1台を見る場合でも違う

遠隔監視では、カメラの表示方法によっても必要な通信量が変わります。


例えば、

カメラ1台だけを表示する

場合と、

16台を同時に表示する

場合では、必要になる通信量は同じではありません。

また、

  • 解像度

  • フレームレート

  • ビットレート

  • 圧縮方式

  • 音声の有無

  • 同時に遠隔監視するスマホ台数

などによっても通信量は変化します。


そのため、

「上り○Mbpsあれば必ず16台見られる」

と一律に決めることはできません。

実際のカメラシステムと通信環境を組み合わせて判断することが重要です。


映像がカクカクする場合は画質設定を下げる方法もある

通信速度が十分ではない場合、遠隔監視用の映像設定を調整することで改善する場合があります。


例えば、

  • 解像度を下げる

  • フレームレートを下げる

  • ビットレートを下げる

  • 同時表示するカメラ台数を減らす

  • 音声を必要なときだけ使用する

などです。


多くの防犯カメラシステムでは、録画用の高画質映像とは別に、遠隔監視用としてデータ量を抑えた映像を設定できます。

これを利用すれば、

録画映像は高画質のまま保存し、スマートフォンでは通信量を抑えた映像を見る

といった運用も可能です。


「遠隔映像が悪い=録画映像も悪い」とは限らない

ここも重要なポイントです。


今回のように通信速度が遅く、スマートフォンやパソコンで見る映像がカクカクしていたとしても、それだけでDVRに保存されている録画映像までカクカクしているとは限りません。

DVRへの録画と、インターネットを経由した遠隔監視は別の処理です。


例えば、

DVRには高画質で正常に録画

しながら、

遠隔監視だけ低解像度・低フレームレート

にすることもできます。


遠隔監視の映像品質に問題が発生した場合は、

カメラ → DVR → 録画

の問題なのか、

DVR → インターネット → スマートフォン

の問題なのかを切り分けて確認する必要があります。


関東セキュリティでは実機を持ち込んで上り速度を確認

ホームルーターを利用した遠隔監視で難しいのは、実際に設置してみなければ通信状況が分かりにくいことです。


そのため関東セキュリティでは、ホームルーターを利用する案件について、必要に応じて実際にW社のホームルーターを現地へ持ち込み、上り回線速度を測定しています。


カタログ上の最大通信速度だけでは判断しません。

実際の設置場所で、

「どの程度の上り速度が出ているのか」

を確認したうえで、お客様に遠隔監視の可否や使い方をアドバイスしています。


今回のように上り5Mbps程度しか出ない場合には、

「16台を同時に高画質でスムーズに見るのは厳しい」

といった現実的な説明ができます。

反対に、実測で上り50Mbps程度確保できている環境で、実際のシステムでも問題なく映像を確認できれば、ホームルーターを利用する選択肢も考えられます。


ホームルーターで遠隔監視するなら「現地測定」が重要

ホームルーターは、光回線工事ができない場所で防犯カメラを遠隔監視するための便利な方法です。

しかし、今回の事例からも分かるように、

「ホームルーターを置けば遠隔監視できる」

と単純に考えることはおすすめできません。

特に確認したいのが上り回線速度です。


今回の実例では、

上り約5Mbps → 映像がカクカク・音声も途切れる

一方、別地域では、

上り約50Mbps → 映像はスムーズ

という大きな違いがありました。


ただし、これは「5Mbpsでは不可、50Mbpsなら必ず大丈夫」という基準を示すものではありません。

必要な通信速度は、カメラ台数や解像度、フレームレート、ビットレート、同時表示台数などによって変わります。


だからこそ、ホームルーターを使った防犯カメラの遠隔監視では、実際の設置場所で通信速度を測定し、実際に使用するシステムに合わせて判断することが重要です。


関東セキュリティでは、光回線が利用できない場所についても、通信環境を確認したうえで遠隔監視方法をご提案しています。

「大家さんから光回線工事の許可が下りない」

「空き家なので光回線を契約したくない」

「ホームルーターで防犯カメラを遠隔監視したい」

といった場合も、まずはご相談ください。



ホームルーターはベストエフォート型の通信サービスであり、地域や時間帯、電波状況、回線の混雑状況などによって通信速度が変動します。そのため、遠隔監視に利用する場合は、カタログ上の最大通信速度ではなく、実際の設置場所で上り速度を確認することが重要です。


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