介護施設で職員による窃盗事件|防犯カメラで考える「内部犯罪」への対策
介護施設の防犯対策というと、
「外部から侵入する不審者を防ぐ」
ことを最初に思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、防犯対策で考えなければならないのは外部からの侵入だけではありません。
2026年9月、東京都三鷹市の介護付き有料老人ホームで、勤務していた介護士の男が入居者の居室から指輪やキャッシュカードなどを盗んだ疑いで逮捕された事件が報道されました。
警視庁によると、東京都と埼玉県の2つの介護施設では計十数件の窃盗被害が確認され、被害額は少なくとも合計1,000万円に上るとみられ、関連が調べられています。
今回の事件から考えたいのは、
「介護施設の防犯カメラを、誰から施設を守るために設置するのか?」
ということです。
90代入居者の居室から指輪など約200万円相当
報道によると、再逮捕容疑となった事件は2026年8月17日夜から19日夕方までの間に発生しました。
東京都三鷹市の介護付き有料老人ホームで、90代男性の無施錠の居室に侵入し、指輪やキャッシュカード、通帳など計6点、時価約200万円相当を盗んだ疑いが持たれています。
さらに、盗んだキャッシュカードを使って現金を引き出していたとも報じられています。
介護施設は、入居者にとって単なる「施設」ではありません。
日常生活を送る自宅でもあります。
その居室から大切な貴金属や金品がなくなるということは、金銭的な被害だけではなく、入居者やご家族の安心感にも大きく影響します。
防犯カメラの向きを変えてから犯行か
そして、防犯カメラを扱う弊社として特に注目したのが、この点です。
FNNなどの報道によると、容疑者は入居者が不在のタイミングを狙い、防犯カメラの向きを変えたうえで犯行に及んだ疑いがあるとされています。
これは防犯設備を考えるうえで非常に重要です。
防犯カメラが設置されていても、
カメラの向きを変えられる
↓
撮影したい場所が映らなくなる
↓
その状態で犯行が行われる
のであれば、「カメラがある」というだけでは十分とはいえません。
そこで検討したい機能の一つが、タンパリング検知です。
タンパリング機能とは?
タンパリング機能は、防犯カメラの映像に大きな異常が発生した際、それを検知するための機能です
。
例えば、
カメラの向きを変えられる
レンズを覆われる
カメラに何かを被せられる
スプレーなどで視界を妨害される
といったケースです。
今回の事件のように、防犯カメラの存在を知っている人物による犯罪を想定すると、
「カメラで撮影する」だけでなく、「カメラを妨害されたことを検知する」
という考え方も重要になります。
もちろん、タンパリング機能があれば窃盗そのものを防げるわけではありません。しかし、カメラの画角変更などの異常を早期に把握する手段の一つになります。
外部侵入だけではない「内部犯罪」
介護施設の防犯カメラを設計するとき、
敷地入口
駐車場
正面玄関
裏口
など、外部から侵入する人物への対策は重要です。
しかし今回の事件では、疑われているのは施設で勤務する介護士です。
つまり、正規に施設内へ入ることができる人物です。
玄関の防犯をいくら強化しても、すでに施設内にいる人物による犯罪への対策には限界があります。
だからこそ介護施設では、外部防犯と内部防犯を分けて考える必要があります。

居室内にカメラを設置すればよいわけではない
ここで、
「それなら入居者の居室にも防犯カメラを付ければよい」
と考えるかもしれません。
しかし、介護施設ではそう単純ではありません。
入居者の居室は生活空間です。
プライバシーや尊厳への配慮が不可欠で、施設内のどこにでも防犯カメラを設置すればよいというものではありません。
厚生労働省も、介護施設等におけるカメラタイプの見守り機器について調査研究を行っています。また、社会福祉施設等の防犯対策では、施設の状況や周辺環境などを踏まえ、防犯カメラを含む設備面の対策を講じることが示されています。
そのため、内部犯罪対策では、
居室そのものを撮影する
のではなく、
受付・エントランス・共用廊下・事務所周辺など、施設の運用とプライバシーを考慮した場所で人物の動線を記録する
という方法を検討することになります。
「誰が、いつ、どこを通ったか」を確認できるようにする
内部犯罪対策で重要なのは、事件発生後に、
「その時間帯に誰がそのエリアへ行ったのか」
を確認できることです。
例えば、
受付
↓
エントランス
↓
共用廊下
↓
エレベーターホール
↓
各居住エリア
という動線を考えてカメラを配置します。
金品の紛失が判明した場合、居室内を撮影していなくても、共用部分の映像から関係する時間帯の人の動きを確認できる可能性があります。
ここで重要になるのが、録画映像の検索性です。
AI検索なら人物映像を探しやすい
24時間365日稼働している介護施設では、録画映像は膨大になります。
例えば、
「昨日の午後から今朝までの間に、誰がこの廊下を通ったのか確認したい」
となった場合。
通常の防犯カメラでは、何時間もの録画映像を早送りしながら確認することがあります。
AIカメラでは、対応するシステムで人物を検出した場面を絞り込み、人物のサムネイルから目的の映像を探すことができます。
これは、以前弊社が千葉県内の介護付き有料老人ホームへAIカメラを設置した際にも、実際に使用した機能です。
施工完了からわずか2日後に不審者の目撃情報があり、録画映像を確認するためにAI検索を利用しました。
AIは「侵入者を検知する」だけではなく、「録画された人物を後から探す」ためにも利用できます。
防犯カメラは入居者だけでなく職員を守る
内部犯罪対策というと、
「職員を監視するためにカメラを付ける」
という印象を持たれるかもしれません。
しかし、防犯カメラには逆の役割もあります。
例えば入居者から、
「財布から現金がなくなった」
という申し出があったとします。
その時間帯に勤務していた職員へ疑いが向けられる可能性があります。
しかし映像を確認して、
その職員は該当するエリアへ行っていなかった
ことが確認できれば、職員にとっても重要な記録になります。
防犯カメラは、
「犯人を見つけるためだけの設備」ではなく、「事実関係を客観的に確認するための設備」
として考えることもできます。
入居者・家族との信頼関係にも関わる問題
介護施設にとって、盗難事件は被害金額だけの問題ではありません。
入居者やその家族からすれば、
「大切な家族を安心して預けられる施設なのか」
という信頼にも関わります。
特に高級時計、指輪、現金などは、小さく持ち出しやすい一方で高額になることがあります。
防犯カメラだけでなく、
貴重品管理
居室の施錠
職員の入退室管理
金品紛失時の対応手順
などを組み合わせて対策する必要があります。
防犯カメラは、その仕組みを補完する設備の一つです。
カメラを「設置して終わり」にしない
今回の事件から特に考えたいのが、
「防犯カメラが正常に撮影しているか」
という点です。
カメラの向きが変わっていても、誰も映像を確認しなければ、そのまま長時間気づかない可能性があります。
そのため、
カメラの画角を定期的に確認する
録画状態を確認する
タンパリング検知を設定する
異常発生時の通知先を決める
といった運用まで考えることが重要です。
防犯カメラは、取り付けた瞬間に防犯対策が完成する設備ではありません。
「設置+設定+運用」
まで含めて一つの防犯システムです。
介護施設では「外」と「中」の両方を見る
今回の事件を踏まえると、介護施設の防犯カメラは大きく2つの目的に分けて考えることができます。

そしてAIカメラを導入する場合には、
人物検知
AI検索
スマートフォン通知
タンパリング検知
などを、設置場所や運用目的に応じて使い分けます。
まとめ|介護施設の防犯は「外部侵入」だけではない
2026年9月に報道された東京都三鷹市の事件では、介護付き有料老人ホームに勤務していた介護士の男が、90代の入居者の居室から指輪やキャッシュカードなど約200万円相当を盗んだ疑いが持たれています。
さらに東京都と埼玉県の2施設では計十数件の被害が確認され、警視庁は被害額が少なくとも合計1,000万円に上るとみて関連を調べています。
そして防犯設備の観点から見逃せないのが、防犯カメラの向きを変えたうえで犯行に及んだと報じられていることです。
この事件は、介護施設の防犯について、
「外から不審者が入ってくることだけを考えればよいのか?」
を改めて考えるきっかけになります。
外部からの侵入対策には、敷地入口・駐車場・正面玄関・裏口。
内部の盗難やトラブル対策には、受付・共用廊下・エレベーターホールなど。
さらに、
AI検索で人物を探す。
タンパリング機能でカメラへの妨害を検知する。
録画状態や画角を定期的に確認する。
こうした機能と運用を組み合わせることが重要です。
関東セキュリティでは、防犯カメラを単純に「何台設置するか」ではなく、
「何から守るのか」「何か起きたとき、どう映像を探すのか」「カメラ自体を妨害されたらどうするのか」
まで考えた防犯システムをご提案しています。
介護施設では、入居者のプライバシーに十分配慮しながら、入居者・ご家族・そこで働くスタッフを守るための防犯カメラ運用を考えることが重要です。



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